平成20年度 市民プロムナードコンサート~劇音楽に親しもう! シェイクスピア・ゲーテの世界~

H20promパンフレット今回のプロムナードコンサートでは、演劇と音楽の関係に焦点をあて、なかでも演劇・戯曲の代表的な作家であるゲーテとシェイクスピアを題材として選びました。

ゲーテ

ゲーテは、ドイツを代表する詩人・劇作家と言うに留まらず、現代の色々な学問・社会にも通じる最高の知識人と言ってもよく、サイエンスや芸術の分野にも大いに活動の場を見出し、その多彩さは類を見ないと言っても言い過ぎではない程です。

1749年にフランクフルト・アムマインの裕福な家に生まれ、二十歳前にはライプツィヒで法律を学んでいましたが、その頃文学や芸術に興味を持ち始めたといわれています。
その後病気になったため、故郷へ戻り、静養をきっかけに宗教や音楽、更に解剖学などの自然科学も学んでいます。

このような中で、幾人もの重要な人物と親交を結ぶようになり、この後ご紹介するファウストにも登場する、シェイクスピアの戯曲についての評価や、古典ギリシャの演劇についても大いに研究を深めていくことになります。

また、ゲーテは、その生涯で多くの女性と恋愛を経験し、また精神的な親交を持ったりしましたが、それらの経験が詩や小説などの題材となり、また多くの作品の登場人物のモデルともなっています。
またそれだけでなく、自身の経験によって培われた人生観というものを、彼の数々の作品を通して知ることができます。

ゲーテが多才な人間であることを示すもう一つの事実として、ヴァイマールにおける宮廷の重職を担っていたことがあげられます。
その間も自然科学などの研究をしており、これらは現代にも通じる内容の研究も多いと言われています。そんな中、ふと思い立ったようにイタリア旅行に出かけます。宮廷の煩わしい職務から抜け出し、且つ創作意欲を増すためには新たな環境が必要だったのかもしれません。
結局2年ほどで戻ってきたものの、周囲にはこの彼の行動が理解されなかったためこの地を去ることも考えたこともありましたが、イタリア旅行がもたらした数々の経験から、さらに新たな活動へと進み始めることもできたのでしょう。悲劇「エグモント」はこの旅行中に完成しています。

帰国後の新たな活動期に同時代の文豪・シラーとの親交が深まり、またその勧めもあって、以前から構想しかつ着手していた「ファウスト」を本気で世に出す決心をした時期でもあります。

シラーは、皆さんご存知のベートーヴェンの第九交響曲終楽章に出てくる歌詞の原作者です。

ベートーヴェン:「エグモント」序曲

1曲目の「エグモント」は、日本の江戸時代、老中松平定信が寛政の改革を始めたころの1787年に完成したもので、現在のオランダ、ベルギーあたりの史実を基に作られました。

神聖ローマ帝国の騎士として数々の武勲を立てたエグモント伯爵は、当時のネーデルランド国王フェリペ二世の圧政に対し抗議の行動を起こしますが反逆の罪で捕らえられ、処刑されてしまいます。
しかしこの処刑は、ネーデルランドの圧政に打ち勝ち自由を得ることの象徴とされ、後の独立に影響を与えました。

1810年、ベートーヴェンは、ウィーン宮廷劇場の依頼で、この作品を題材にした劇音楽を作曲し、自らの指揮で初演しました。
序曲と、8曲の劇中音楽および終曲で構成されたこの劇音楽の評価は非常に高く、ゲーテ本人も非常に満足し、ベートーヴェンの才能を称えたと言われています。

ここで、ゲーテとベートーヴェンにまつわるエピソードを一つ。彼らの出会いは何度か有り、お互いの才能を認め合っていたわけですが、21歳も年下のベートーヴェンの方が尊大であり、ゲーテはそのことでは批判していたと伝えられているなかで、こんな話しも有ります。

二人が話しながら町の通りを歩いていると、この名士二人と出会う人々が皆挨拶をします。
それを見てゲーテは、「一々帽子を取って会釈するのが煩わしいものだ」とベートーヴェンに言ったところ、ベートーヴェン曰く、「彼らの挨拶は皆私に対するものだから、あなたは気にする必要はないですよ」

もちろん、ベートーヴェンは一々挨拶を返してはいなかったでしょうね。

グノー:オペラ「ファウスト」バレエ音楽より

さて次の題材は、ゲーテが生涯をかけて完成させたといってもよい大作、「ファウスト」です。

既述のイタリア旅行の後、ベートーヴェンの第九交響曲の歌詞で知られた、文豪・シラーとの親交が深まり、彼の勧めもあって、ゲーテは温めていた「ファウスト」を本気で世に送り出す決心をしました。

「ファウスト」は二部構成となっており、第1部は1806年に完成、第2部はゲーテの死の前年である1831年に完成し、発表はゲーテの死後に行われました。

時は中世ヨーロッパ。主だった学問や知識を極めた老ファウスト博士は、自分が全然賢くなっていないと嘆き、もっと別の知識を極め尽くしたいと思っていた。

書斎にいたファウストのもとにメフィストフェレスが現れ、ファウストの望みを叶えよう。ただし、あの世で出会ったら、私思い通りになることが条件だと。
ファウストは承諾し、あらゆる経験を極めたその瞬間に「時よ止まれ、おまえはなんと美しい!」と言ったらメフィストに魂を捧げよう、と約束する。

メフィストはファウストを魔女の厨に連れて行き、若返りの秘薬を作らせてファウストに与える。その時、ふと見た鏡に究極の美を備えた女性を見てしまう。この美女が忘れられず、街で出会ったマルガレーテすなわちグレートヒェンを鏡の美女と思い込み見染めてしまう。

彼女を口説くため、その母親が邪魔で眠り薬を飲ませるよう言う。
グレートヒェンを我が物とするが、母親は薬のせいで死んでしまい、その上、グレートヒェンの兄と道端で出くわしたときに意に反して決闘となり殺してしまう。

兄も母も死に、ファウストにも捨てられたと思ったグレートヒェンは精神に異常きたし、ファウストとの間に生まれた子供も自身で手を掛けて死なせてしまい、捕らえられてしまう。

場面は変わり、メフィストはファウストを魔女たちの饗宴である「ワルプルギスの夜」に連れていく。
魔女や魔物の乱痴気騒ぎのなか、生気の無いグレートヒェンの姿を見つける。
続いて、シェイクスピアの「夏の夜の夢」などをパロディー化した登場人物が出てきたりするが、無駄な時間を過ごしたことにいらだち、メフィストを罵りながら、心配な彼女のいる牢獄へ行く。
彼女を何とか脱獄するよう説得するが、背後にメフィストがいることを察したグレートヒェンは、脱獄を拒み計画は失敗。
メフィストが「裁きは下った」と言うと同時に、天の高みから「救われたのだ」という天使の声がし、グレートヒェンは昇天する。

ここで第1部が幕を閉じる。

第2部は、ファウストが意気消沈している場面から始まる。
ここからは、幻想の世界に読者または観客は引き込まれていく。

財政が逼迫した帝国の皇帝の間の場面。
ファウストは、メフィストと一緒になって皇帝にインチキの打開策を示し、幻想の世界を呼び出しうまいこと信じさせてしまう。

場面が変わり、弟子のヴァグナーの創造による肉体をもたない人造人間・ホムンクルスが誕生、ファウストたちと共に、古代ギリシャへの時空を超えた旅が始まる。「古典的ワルプルギスの夜」と言われる場面だ。ギリシャ神話の数々の登場人物や場面が錯綜して登場する。

さらに場面が変わり、冥界に降りたファウストは、第1部で魔女の鏡に映った美女ヘレナに出会い、添い遂げてしかも、息子までもうけるが、何れも幻影の世界のものであり、結局霧の様に消えて無くなってしまう。

再び帝国に場面が戻り、ファウストは政策の立て直しに一応の功を成し、今では海を支配したいという最大の望みを叶えるべく海岸地帯の土地を与えられる。
そこに住んでいる善良な老夫婦と古い教会が邪魔に思え、メフィストに立ち退きを任せるが、家は焼かれ老夫婦は殺されてしまう。
ファウストは自分の考えと違うことに激怒しメフィストと手下どもを追放する。

「四人の灰色の女」の場面。各々と問答を始めたが、ファウストの言葉が気に入らない「憂い」は、息を吹き掛けて盲目にする。
そのため、メフィストの計略でファウストの墓穴を手下どもが掘っている音を埋め立て工事の音と勘違いし、自分が描く自由な土地で人々が理想的な生活が出来るならその瞬間にこう言おう、「時よ止まれ、おまえはなんと美しい」と。
そして、ファウストは息絶えた。

メフィストは契約通り魂を奪おうとするが、その時天上からは妙なる合唱が聞こえると、天使たちが現れてファウストの魂は昇天し、マルガレーテの祈りにより救済される―。

「ファウスト」については、実に多くの作曲家がテーマに選んで音楽に表現しています。
リストのファウスト交響曲、マーラーの交響曲第8番、ベルリオーズのファウストの劫罰、ボイートのオペラ・メフィストーフェレ、シューベルトの歌曲・糸を紡ぐグレートヒェン、等々…。
数多の作曲家にとって、この大作は非常に魅力的な題材であったことが推察されます。

本日取り上げましたグノーのオペラ版「ファウスト」ですが、実はゲーテの原作に大分手を加えているようです。
今回演奏するバレエ音楽は、1868年のパリ・オペラ座での初演時、オペラの第5幕に追加されました。
題材としては直接ファウストには関係が無いともいわれていますが、第2部に出てくるギリシャ神話などを題材にアレンジをしているのではないかと思われます。
グノーが活躍したフランスではオペラにバレエは付きもので、観衆の好みやパリの習慣に合わせたものと思われます(ドイツオペラの大家ワーグナーでさえ、フランスでの上演の際にはオペラにバレエのシーンを挿入していました)。

このバレエ音楽は、オペラの第5幕「古代版ワルプルギスの夜」の第2場、饗宴のシーンに追加されたもので、クレオパトラ、トロイア人の娘、幻想の世界の美女ヘレナ、果ては遊女までが次々と登場し、ファウストを誘惑するシーンとして描かれています。
本日はバレエ音楽全7曲から4曲を抜粋してお送りいたします。

第1曲:ヌビア人の娘の踊り
ヌビア人とは、古代エジプト文明が栄えていた頃、ナイル川の源流地域に王朝を作った種族で、エジプト王朝が弱体化すると攻め入ったりしていたようです。
しかしファウストにはこのヌビア人のことは出てこないのでグノーの創作と思われます。
第5曲:トロヤの娘たちの踊り
トロヤは、古代ギリシャ時代の小アジアの国で、トロヤ戦争あるいはトロイの木馬で有名ですが、この言葉はコンピューター・ウイルスの名前にもなってしまいました。
第6曲:鏡の踊り
第6曲:鏡の踊り魔女の厨(くりや=調理場)で、若返りの秘薬を与えられた後、そこで見かけた魔の鏡に映った、極めつけの美女=実はヘレーナに、ファウストは魅了される。
この曲はヘレーナの踊りともいわれます。
第7曲:フリネの踊り
古代ギリシャの遊女の踊りといわれていますが、バッカナール、即ち饗宴での乱舞としてもよいでしょう。

シェイクスピア

シェイクスピア(1564-1616)は、イングランドの中部、ストラトフォード・アポン・エイボンに生まれ、正に国と時代を超越した戯曲家として世界に冠たる存在です。
日本においても数々の演劇が色々な演出で常に上演されている事でも、その偉大さが分かります。

時はエリザベス朝時代、代表作には四大悲劇といわれる「リア王」「ハムレット」「マクベス」「オセロー」や「ベニスの商人」「ジュリアス・シーザー」「ヘンリー四世」などがあります。
悲劇、喜劇、歴史劇、またそれらの複合体などジャンルは多彩です。
大変優れた文体をなしており、今日の英語表現の模範となったと言われています。

きょう演奏する曲は、彼の代表作として、1596-97年に作られた戯曲のうち三本を取り上げます。

ニコライ:劇音楽「ウィンザーの陽気な女房たち」 序曲

先ず喜劇、「ウィンザーの陽気な女房たち」。
二人の人妻に同じ文面の恋文を贈った不良老人の「サー・ジョン・フォールスタッフ」を主役とした喜劇ですが、このフォールスタッフはこの劇に登場する前に、すでに「ヘンリー四世・1部・2部」にも登場した騎士でもあります。
この「ヘンリー四世」2部を観たエリザベス女王一世の“恋する老騎士が観たい”という要望に応え、2週間ほどでこの「ウィンザーの陽気な女房たち」が書き上げられたと言われています。

前国王を正規の手続きを経ず退位させて国王に就いたヘンリー四世には、放蕩三昧のハル皇太子が居る。不良老人フォールスタッフは、そのハル皇太子の放蕩にいつも関わっていた。
ヘンリー四世に敵対する勢力と戦争になり、国王の願いでハルは改心して先頭に立って戦い、勝利する。
フォールスタッフは戦勝組で有頂天になり、遊興三昧。酒場の女将クイックリーとねんごろになったり借金したりで身持ちが悪く、警察沙汰になったりする。
ヘンリー四世が死去し、ハルが王位に就くと不良フォールスタッフは本人の意に反して、追放刑に処せられる――。

「ヘンリー4世」でこんな経緯を持つフォールスタッフは、「ウィンザー」でも依然身持ちの悪い女たらしとして登場します。

フォード夫人とページ夫人に同じ文面の恋文を送り、ねんごろになろうとする。
これを知った夫人たちは計略を立てる。
フォード夫人との仕組まれた逢引きの最中に夫のフォードが帰宅したとき、フォールスタッフは洗濯かごに隠れ難を凌いだ、と思いきや、彼は洗濯籠ごとテムズ川に放り込まれてしまう。

それでも性懲りもなくまた近づいてくるので、その都度計略を練って懲らしめるが、最後はウィンザーの森に呼び出し、妖精に扮した子供たちも総出で散々に懲らしめ、やっとフォールスタッフは自分がこけにされている事に気づき降参する。

この間には、ページ夫人の娘の結婚話のどたばたも挿入されており、フォールスタッフの懲らしめと同時進行し、劇の大詰めでハッピーエンドを迎える。

―という筋立てです。

作曲者のオットー・ニコライは、ウィーン宮廷歌劇場のオーケストラのメンバーで定期的にコンサートを催すことを企画し、現在のウィーン・フィルの初代指揮者となったことで有名ですが、19世紀前半に活躍した作曲家でもあります。

この「ウィンザーの陽気な女房たち」も当時のドイツで人気のあった喜歌劇のジャンルで成功をおさめています。
この作品のユーモアと新鮮さは、序曲にも十分感じられ、ウィーン風の軽やかでウィットの効いた名曲です。

歌劇の初演は1849年にベルリンの王立歌劇場で行われましたが、残念ながらその数ヶ月後、39歳の若さで世を去りました。

メンデルスゾーン:劇音楽「夏の夜の夢」 より「ノクターン」「結婚行進曲」

さて次は、喜劇「夏の夜の夢」ですが、昔は「真夏の夜の夢」といわれていました。
これは、原題が「ア ミッドサマー ナイツ ドリーム」となっていたためですが、このミッドサマーは、夏至の夜のことであり、緯度の高いイギリスなどでは日本の真夏とは大分異なるため、現在では真夏は使われなくなっています。
ちなみにメンデルスゾーンの曲名はドイツ語で「アイン ゾンマー・ナハツ トラウム」であり、「夏の夜の夢」と訳せます。

物語は、妖精の王・オーベロンと后(きさき)タイターニア、ちょっとあわて者でいたずら好きの妖精パックが、古代のアテネの森で大騒動の一夜を繰り広げます。
登場人物を中心に物語を追ってみましょう。
人間の世界の恋愛関係と、妖精の世界の内輪争いが絡み合います。

「夏の夜の夢」相関図

イージーアスの娘ハーミアとライサンダーは想いを遂げるため駆け落ちを決意。
ハーミアは友達ヘレナに打ち明けるが、ヘレナは片思いのディミートリアスにこのことを話してしまう。

場面は変わり、アテネ近郊の妖精たちが支配する森の中。
王の妖精のオーベロンと后(きさき)タイターニアは、后が囲っている小姓をめぐって喧嘩の仲。
小姓を自分のものにしたいオーベロンは、パックに命じて后に惚れ薬を目に付け、最初に見たものに恋をするように仕掛ける。 森の中にヘレナと彼女に対して邪険なディミートリアスが険悪なムードで入ってくるが、駆け落ちしてきた二人もやって来る。
ヘレナを気の毒に思った王は、男に惚れ薬を付けておけとパックに命じる。

アテネの公爵シーシュースとアマゾンの女王ヒッポリタの結婚式の余興芝居の稽古が森の中で行われているが、これがあまりに下手くそなことに苛立つパックは、座長ボトムの頭をロバに変えてしまう。
そこにいた后は目を覚ました際、ロバ頭のボトムを見てしまったため、すぐ惚れてしまう。
また、パックの勘違いで惚れ薬を付けられた若者たちはヘレナばかりを追いかけ、ハーミアは見向きもされなくなる。

この大混乱の末、皆疲れて眠ってしまう。
その間に今度は間違いのないよう正しく薬を付け直す(ノクターンの場面)

ボトムの変身が解かれ、眠っていた若者たちも公爵たちの狩りの角笛で起こされ、それまでの夢を語り合い、二組のカップルがめでたく成立。
さて、三組の結婚式を執り行うことになり、劇中劇として、式までの時間に余興として滑稽な「悲劇」が演じられるが、余りの下手さに、かえって場は盛り上がる。
結婚式でそれぞれのカップルは皆に祝福され、幸せな眠りにつく(ウエディングマーチ)

メンデルスゾーンは、この戯曲を題材に、既に17歳の時に序曲という形で作曲したこの曲は、「夏の夜の夢」を巧みに音楽にした名作と言えます。
「夏の夜の夢」と言うと直ぐにメンデルスゾーンという名が出てくることでも、容易に理解できます。

序曲を作曲したあと、17年程してプロシャ(今のベルリンを中心とした王国)の国王の命で、劇音楽として12曲を作曲しました。
今日演奏するのは、その中の7曲目と9曲目です。

チャイコフスキー:幻想序曲「ロメオとジュリエット」

いよいよ本日のプログラムの最後、シェイクスピアの最も有名な悲劇の一つといえば、「ロミオとジュリエット」です。
この悲劇、もう始まったその時から悲劇の雰囲気を予感させると言ってもいいような、何とも心の痛む結末をもった劇です。

作曲家にとっても魅力のある戯曲で、著名なところでは、本日演奏の

  • チャイコフスキー作曲:幻想序曲「ロメオとジュリエット」

のほかに、

  • ドニゼッティ作曲:オペラ「キャプレーティとモンテッキ」
  • ベルリオーズ作曲:劇的交響曲「ロメオとジュリエット」
  • プロコフィエフ作曲:バレエ音楽「ロメオとジュリエット」
  • ニーノ・ロータ作曲:映画音楽「ロメオとジュリエット」
  • バーンスタイン作曲:ミュージカル「ウエストサイド・ストーリー」

などがあります。

劇の舞台となるのは、イタリア北部の町ヴェローナ、時は16世紀、代々犬猿の仲と言われるほど常に争いごとを続けている名門の、「キャピュレット家」と「モンタギュー家」。
主人公のロミオは、モンタギュー家の子息、ジュリエットはキャピレット家の息女で14歳という設定です。
大公の親族パリスは、ジュリエットを愛しており、またロミオにも恋人のロザラインが居ます(この設定、皆さんご存知でしたか?)。
ロミオの友人、マーキューシオ。彼は、両家の争いによる喧嘩の最中に、止めに入ったロミオの脇から、キャピュレット夫人の甥であるティーボルトに剣で刺されて死んでしまいます。
そのほか物語の重要な登場人物として、ジュリエットの乳母、修道士ロレンスを挙げておきましょう。

幕が上がると仮面舞踏会が開かれていて、ロミオもジュリエットも、それぞれの恋人の愛を確かめるために舞踏会に来るが、初めて会った二人はお互いに一目見たとたん電撃的に恋に落ちてしまう。
二人はお互いが争っている家同士だと気がつくが、愛の強さはそれに勝り、一晩で契りを交わすと、駆け落ちしてでも結婚しようと思い、夜が明ける間もなく、修道士ロレンスの下で結ばれた。

両家の争いはなお絶えず、その日も喧嘩が有り、仲裁しようとしたロミオの友人のマーキューシオが敵方のティーボルトに殺されたことでロミオの堪忍も切れ、ジュリエットの従兄であるティーボルトを剣で殺してしまった。
ロミオはマンチュアへの追放の刑でジュリエットと別れることになり、更にジュリエットはパリスと再婚という事態に陥ってしまう。

ジュリエットはどうしたらよいか、修道士のロレンスに相談したところ、最後の策として42時間だけ仮死状態となる危険な薬を使うことにする。
このことを、追放の地にいるロミオに知らせるべく手紙を出したが、途中の事故で予定通り届かず、一方ではジュリエットの仮死状態に大騒ぎとなり、ロミオに彼女が死んだという手紙が出される。
この手紙の方がロミオに先に到着してしまい、絶望したロミオは途中の薬屋で毒薬を買い、彼女のもとに急ぐと、柩に横たわっているジュリエットを見て一気に毒をあおってしまう。
42時間たって目覚めたジュリエットの下には、意識のなくなったロミオが横たわっており、事態を察したジュリエットは望みを失い、剣で自害してしまうのであった。

二人の亡骸を発見した人々は悲嘆に暮れ、彼ら愛の深さを知りその犠牲を無にしないようにと、両家が和解し幕を閉じる。

数々の名作の中でも取り分け、若者の一途な愛とその深さを描いた名作であり、それに触発された音楽も、情感のこもったものが多いようです。

チャイコフスキーのこの曲も、修道士ロレンスによる二人の純粋で悲しい愛の物語を話し始めるところから始まります。
やがて両家の仲違いによる争いと将来の悲劇の予感、恋人たちの愛の契りを交わす歓びのひと時の場面、やがて訪れる、予感的中の紛争と、その結末である愛する二人の絶望の果て、という具合に、非常に凝縮された劇的な構成で、聴く者を圧倒します。

チャイコフスキーの劇的な表現と、ロマンティックなメロディーをご堪能頂ければ幸いです。

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