平成18年度 市民プロムナードコンサート

H18promパンフレット今年の演奏会のプログラムは、ドボルザークの交響曲「新世界より」を中心に構成しました。

昨年の9月に第1回市民プロムナードコンサートを開催し、その際に来年以降の演奏会で聴きたい曲というアンケートをとったところ、この「新世界より」がトップになりました。
実は、昨年は選曲では「新世界より」と「運命」が最後まで決まらず、団員投票の結果、僅差で「運命」に決まりました。
今回の演奏会では、満を持しての演奏となります。

オーケストラとしても、このような超有名曲を演奏することは、非常にプレッシャーを感じます。
相模原市民交響楽団では、記念すべき第1回定期演奏会で演奏しております。当団において、原点回帰ともいえるプログラムです。
本日ご来場の皆様が、我々の演奏を楽しんで聴いていただければ、幸いです。

ドボルザーク:スラブ舞曲 第1番 ハ長調

ハンガリー舞曲を作曲したブラームスの薦めもあり、ドボルザークは16曲からなるスラブ舞曲を作曲しました。
ドボルザークは、かねてからスラブの民謡に興味があったために、作曲は非常にスムーズに進んだようです。

本日は、その中から1番を取り上げます。
この曲は、ボヘミアの代表的舞曲のフリアントであり、2拍子と3拍子が交錯する激しい舞曲です。
中間部は、穏やかになり、田園風のメロディーが聴かれます。

スメタナ:連作交響詩「わが祖国」より <モルダウ>

ドボルザークよりも年長である同じくチェコの作曲家であるスメタナは、晩年に6曲からなる連作交響詩『わが祖国(Ma Vlast)』を作曲しました。
スメタナが生まれた当時は、チェコはオーストリア帝国の激しい弾圧にあり、母国語であるチェコ語も使用を禁止されていたと言うことです。
そんな、チェコの母国への愛をうたったのが、この『わが祖国』です。
この中でも、2曲目のモルダウは描写が絵画的で非常に人気があり、今回の演奏会のように単独で演奏されることがよくあります。

なお、『わが祖国』は毎年プラハ音楽祭のオープニングに演奏されます。
特に、チェコ動乱のあと中止されていたプラハ音楽祭が再開されたときに、オープニングでこの曲が演奏された際には、会場からすすり泣きの声が聞こえていたということです。

モルダウの水源
フルートと弦のピチカートで、水がちろちろと流れ出す瞬間が描かれます。
その後、クラリネットが加わり、冷たい水源と暖かい水源が合流しているところを表現しています。
モルダウの流れ
バイオリンにモルダウの有名なテーマが現れます。
ここでは、モルダウが流れていく様子が描写されています。
セカンドバイオリン以下は、モルダウの流れる漣(さざなみ)をあらわしています。
森の狩猟
モルダウは、森の中を流れていきます。
人々は狩りを行っており、猟犬をけしかけて獲物を追っています。
農民の踊り
森を抜けると、平原に出てきます。
農民が結婚式のために踊っています。粗野ですが、とても楽しげなダンスです。
月の光
さて、夜になりました。モルダウは静かに流れていきます。
月がでて、モルダウの水面に月が反射します。
トロンボーンの4声体のコラールが出てきますが、これは妖精を模しています。
聖ヨハネの急流
モルダウが急流に差し掛かり、荒れ狂うように流れていきます。
さいごに、岩に激突して流れが納まります。
モルダウは流れていく
プラハの市内に入ってきて、モルダウはとうとうと流れていきます。
モルダウが含まれる連作交響詩「わが祖国」のメインテーマである「ヴィシュフラド(高い城)」が現れます。最後は、静かに終わります。

ドボルザーク:交響曲第9番「新世界より」

ドボルザークは1892年、51歳のときに、ニューヨーク・ナショナル音楽院の学長として渡米しました。
このアメリカ滞在期に、アメリカ・インディアンの音楽や黒人霊歌等を吸収し、交響曲第9番『新世界より』は作曲されました。初演は、1893年12月、ザイドゥル指揮ニューヨークフィルハーモニックです。
アメリカの黒人霊歌を取り入れたかとの問いにドボルザークは「ナンセンスだ」と否定しています。
モーツァルト研究で有名な海老沢敏氏によると、この作品は「アメリカで着想・作曲され、アメリカのオーケストラで初演された、新世界からヨーロッパへのメッセージである」なのだそうです。

この曲は、特に日本人にとって人気がある曲であり、年末に集中して演奏される「第九」と並んで、演奏機会が多い曲です。
曲を聴いてみるとわかると思いますが、どの楽章をとってもノスタルジックで懐かしいメロディに溢れています。

「ああ新世界」というテレビドラマがありました。
この曲で4楽章にたった一箇所だけシンバルを鳴らす箇所があります。このために呼ばれた演奏者が考え事をしていて叩き損ねてしまうというシーンがあります。
筆者は、「新世界より」を聴くたびにこのシーンを思い出してしまいます。

第1楽章
夜明けを思わせるアダージョの序章のあとに、快活なアレグロのソナタ形式が続きます。
第2楽章
ゆったりとした楽章。冒頭に出てくるイングリッシュホルンのソロは、歌詞がつけられて「家路」として歌われています。
第3楽章
激しいスケルツォで始まります。中間部は、田園調でありスラブ舞曲のようです。
第4楽章
快活なソナタ形式。出だしのホルン・トランペットが非常に勇ましいメロディーを演奏します。
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