ピーターと狼(平成13年度 市民コンサート)
「ピーターと狼」は、プロコフィエフが子供のために作曲した、ナレーションを伴う音楽です。プロコフィエフは、楽器の紹介も兼ねてこの曲を作曲したと考えられます。
登場人物および動物は、それぞれみんな自分のテーマを持っています。
そのテーマは、以下のような楽器で演奏されます。
- ピーター
- 弦楽アンサンブル
- 小鳥
- フルート
- アヒル
- オーボエ
- 猫
- クラリネット
- 狼
- 3本のホルン
- おじいさん
- ファゴット
- ライフル
- ティンパニと大太鼓
物語
昔々、あるところにピーターという少年がいました。
ピーターは、門を開けて、そして牧場に駈けていきました。木の上には小鳥が止まっていました。「静かだね。」
アヒルがよたよた歩いてきました。アヒルは、牧場の中の池を目指しています。
小鳥は、「空を飛べないんじゃ、鳥じゃないよ」といいました。アヒルはそれに対して、「黙れ!」といって、池にきれいに飛び込み、すいすいと泳ぎました。
カエルたちは拍手喝さいです。
小鳥が岸辺をはねているときに、アヒルは池で泳いでいました。 突然、ピーターの目に何かが止まりました。それは芝生の上をこっそり歩いている猫でした。
猫は、そっと忍び寄り、「小鳥は、こっちに気がついていないぞ。」と小鳥を襲おうとしました。
「気をつけろ!」ピーターが大声で叫びました。即座に、小鳥は木の上に飛びました。アヒルは猫に対して勇敢にもガーガーと、池の中から鳴きました。
猫は、木の周りをうろうろし「木に登ったとしても、その前に小鳥は逃げてしまうよ。もし、羽があったらな。」と悔しがりました。
そのときに、ピーターのおじいさんは現われました。おじいさんは、ピーターが草原に出ていたことをとても怒りました。「危ないぞ。狼が出てきたらどうするんだ。」
「男の子は狼なんか怖くないのさ」とピーターは言いました、けれど、おじいさんはピーターの手を引いて、門の中に入りました。
ピーターが門に入ってまもなく、森から大きな灰色の狼が出てきました。
猫は驚いて、翼がないにもかかわらず、木に登ってしまいました。
アヒルは、ガーガー鳴き反動で池から出てしまいました。アヒルは、よたよた歩いていました。そこに狼が後ろから、そーっとそーっと近づきました。
ついに狼はアヒルを捕まえて、一息で食べてしまいました。
猫と小鳥は、木の上にいました。その木の回りをうろうろしながら、狼はどうやって猫と小鳥を食べようとするのか、考えていました。
ピーターは門の陰で、その様子をじっと見ていました。そして、家まで走りロープを取ってきました。
狼がうろうろしていた木の枝が壁まで届いていました。ピーターは、壁によじ登りその枝に飛び移りました。
ピーターは小鳥にささやきました。「狼の回りを飛んでおくれ。気をつけて。決してつかまらないようにね。」
小鳥は狼の鼻先・耳をかすめて、尻尾をくちばしで突っつきました。狼は、噛み付こうとしましたがうまく行きませんでした。そして、歯をむき出してうなりました。ピーターは狼を捕まえる準備をしました。
ピーターは、ロープで輪を作り、それを上からたれ下げました。そして、それで狼の尻尾を捕まえました。ピーターは力いっぱい引っ張りました。狼は「しまった」と気がつきましたが、もう遅かったのです。ピーターはもう一方の端を木に結びつけました。狼が暴れれば暴れるほど尻尾がきつくしまってきました。
そのあとすぐに数人のハンターが狼の足跡を追って出てきました。そして狼を撃とうとしました。「撃たないで! 僕達は狼を捕まえたんだ。狼を動物園に連れて行くのを手伝ってよ。」
さて、これからパレードです。
先頭は、ピーター。
それから狼を引っ張っているハンター。
それからおじいさん、そして、一番最後は、猫でした。
おじいさんは、ちょっと浮かない顔です。「もしピーターが狼を捕まえられなかったら、どうなっていたことであろう。」ちょっと心配顔です。
小鳥は、頭上を飛び回っています。
あれ? よく聞いてみると、狼のお腹でアヒルが鳴いています。なんと、アヒルは、まだ生きていたのです。