第19回 相模原市民合同演奏会

ワーグナー:歌劇「トリスタンとイゾルデ」 前奏曲

19th合同パンフレットワーグナーが、1859年に完成させたオペラ「トリスタンとイゾルデ」の前奏曲です。
ワーグナーによると「愛し合う2人の抑えることのできない欲望をもっとも控えめに示して始まり、望みのない愛情の告白のための微妙なおののきから愛情のすさまじい爆発に至るまで、内面の情熱に対する無駄な戦いのあらゆる感情が貫いている。そして、この感情は沈潜し、死の中に消え去るはかないものになってしまう」という音楽です。

チェロが音楽を導き出し、途中息の長い長いフレーズでクライマックスを迎えます。
しかし、それも運命の動機で否定されて、最後は低弦のピチカートで終わります。

シューベルト:交響曲「未完成」

シューベルト作曲による、あまりにも有名な曲です。
多くの交響曲、ことにシューベルトの時代のものは4楽章で構成されるのが普通なのですが、この曲は2楽章しかありません。
シューベルトも、3楽章の9小節目までオーケストレーションが完成していますが、ここで中断されてしまいました。
シューベルトは、これに続く音楽が書けなかったのか、単に忘れてしまったのかいろいろな説があります。

超有名曲ではありますが、相模原市民交響楽団で取り上げるのは今回が初めてです。
田代先生からは「オルガンのような響き」を要求されています。
とても美しい曲で演奏するのも難しいのですが、はたしてどこまで到達できるか、お楽しみです。

モーツァルト:レクイエム

1791年ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトは、「灰色の服を着た見知らぬ男」からレクイエムの作曲の依頼を受けました。実は、モーツァルトの才能をねたんだサリエリからの使者であった…というのは、映画「アマデウス」の中の話です。
実際は、ワルゼック伯爵の使いであり、ワルゼック伯爵はこれを自作として発表しようとしていたのです。

自らの死が近いことを感じていた天才モーツァルトは、「死者からの自分自身のレクイエムを依頼された」と考え、亡くなる前日まで作曲していました。しかし、「ラクリモーサ(涙の日)」の8小節目で筆は止まりました。
死ぬ前に、モーツァルトは弟子のジェスマイヤーに完成のための指示を与えており、この曲はジェスマイヤーによって完成されました。

合同演奏会で、いままで何度も候補に挙がりながら取り上げられなかった「レクイエム」が、20世紀最後の年になって取り上げられたということも、運命的です。

合唱とオーケストラの共演といえば、日本ではすぐにベートーヴェンの「第九」が挙げられます。
もちろん「第九」は何度歌ってもすばらしい曲ですが、合唱をやっている人に、「第九」以外で歌いたい曲を聞いたら、きっと多くの人がヘンデルの「メサイア」、そしてこのモーツァルトの「レクイエム」を候補に挙げるでしょう。

このレクイエムは、謎の男に作曲を依頼されたこと、作曲途中で死を迎え未完成に終わったことなど様々なエピソードを持つことでも知られ、古今の数あるレクイエムの中でも屈指の名作といえる作品です。
日本では「モツレク」と呼ばれ、毎年全国各地の合唱団で歌われています。

歌う側として、「第九」との違いは、まず歌う時間が長いこと。
第4楽章約20分が勝負の第九に比べると、モーツァルトのレクイエムは約1時間。
途中ソリストの曲も入りますが、ほぼ歌い通し、立ち通し。
ラテン語の発音や意味、レクイエムの内容も理解しなくてはならないし、発声や表現力などの音楽性はもちろんのこと、集中力、体力など様々なものが要求されます。

曲数も多くて練習は大変ですが、壮大な二重フーガの「キリエ」、最後の審判の恐怖を激しく歌う「怒りの日」、激しい男声と静かな女声の対比による「コンフターティス」、この上なく美しい祈りの曲「ラクリモサ」など、ドラマティックで変化に富んだモーツァルトを存分に楽しめるところが何と言ってもも魅力です。

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