第18回 相模原市民合同演奏会

相模原の第九演奏会

今年は、久しぶりの第九です。
さて、各楽章の聴きどころとして、各パートの厳しいところを暴露してしまおうかとも考えたのですが、各パート諸氏の「お願いだからやめてくれ」と言う声と、私のオケ生命を考えてやめました。

その代わりに、舞台裏でどのような準備をしているのか、ご披露いたしましょう。

合同演奏会実行委員会

今日の相模原市民合同演奏会のために、どのくらいの準備が必要かご存じですか? 実は、1年間かけて準備をしています。

演奏会のために、実行委員会というものが組織されています。
実行委員は今年度の場合20名ほどで、オーケストラと合唱団とで半々で構成されています。

例年1月頃に前年の演奏会の反省会を行いますが、この実行委員会での会合での話題の中心は、すでに年末の演奏会をどのように実施するかということです。
その後、3月頃に会合を開きます。このときには、本年度の実行委員が確定し、本年度のスケジュールが決まります。

この合同演奏会は、実行委員を中心に準備が進められます。
そして、ほぼ2ヶ月に一度の打ち合わせをしながら、合唱団の結団式、練習会場の確保、ポスター・チケットの手配、当日のスケジュールを決めていきます。

市民合同演奏会合唱団とは?

市民合同演奏会合唱団は、毎年一般公募で集められる合唱団ですから、毎年必ず参加する方もあれば、仕事や家庭の都合あるいは曲目によって賛歌不参加を決める方もあるという、やや流動的な合唱団です。
どんなメンバーがどれくらい集まるかは、毎年ふたを開けてみないとわからないので、実行委員はいつも始まるまで不安でいっぱいです。

しかし何といってもこの合唱団の良い点は、その年のその曲を歌いたい人だけが必ず集まるということです。
今年も夏に広報で団員を募集し、また市内の合唱団にも呼びかけた結果、「第九」を歌いたい、「第九」なら絶対参加したいという熱意のある方々が集まりました。

まず中心となっているのは市内の合唱団に所属している人たちです。
日頃から合唱をしているこの方々は、合同演奏会合唱団の重要な戦力となっています。
また、特定の団に所属していないものの、合唱好きで合唱歴が長いという方々も貴重な存在です。

こういったベテラン陣に加え、初心者の方々の積極的な参加もたくさんあります。
合唱団の仲間に、会社の同僚に、あるいは娘に、親に誘われてといった方々もあれば、広報を見て単身乗り込んできた方、毎年聴く側だったが今年奮起して歌う側に回った方、定年退職を機にチャレンジする方など、皆さん動機はいろいろです。

年齢も幅広く、お父さんお母さんと一緒に参加する小学生から、70歳を越える方々までいます。

この合唱団は演奏会が終わったその日に解散ということになるわけですが、演奏後もドラマは続きます。
これをきっかけに市内の合唱団に入団し本格的に合唱の道に入った人、中学・高校時代ここで第九を経験したあと音楽の道に進んだ人、また思いがけずこの合唱団で昔の同級生と再会した人や、第九をきっかけに知り合い、後に結婚された人もいます。
合同演奏会は、演奏の場であるとともに、音楽を愛する多くの人たちの出会いの場となっているのです。

このように年齢・職業はもちろんのこと、合唱経験や参加動機も異なる様々な人たちが集まって、今日この日の演奏のために心を一つにして練習を重ねてきました。
今宵どのような音となって皆様の心に響きますでしょうか

オーケストラ

オーケストラは、相模原市を主な活動拠点としている相模原市民交響楽団で担当しています。

例年六月にオーケストラが主催している定期演奏会を行ったあと、7月頃まで合同演奏会の練習を行います。
10月には、市民コンサートがあり、8月頃からその準備に取り掛かるために、合同演奏会の練習は一休みです。
市民コンサートが終わってから、約1ヶ月半が本格的な合同演奏会の準備です。本番も近くなり、一番熱が入る時期です。

かつては、毎年第九を演奏していたため、団員もほとんどが第九経験者でした。
最近は3年に一度ほどの演奏頻度なので、半分くらいの団員は初めて演奏するということになります。
毎年演奏した頃は、悪い意味で「慣れ」があったのですが、最近は非常に新鮮な気持ちで第九を演奏しています。
特に、今年は常任指揮者でいらっしゃる田代先生の指揮での初めての第九です。オケも気合い十分です。

合同練習

11月終わり頃に、最初の合唱とオーケストラの合同練習があります。
今まで別々に練習していたのですが、初めて合わせるときはお互いにわくわくどきどきです。合唱団で初めてオーケストラと歌うという方にとっては、本当に興奮されると思います。

私の個人的な見解ですが、第九の4楽章の最も美しいところというのは、トロンボーンが参加してくるアンダンテ・マエストーソの部分からであると思っています。
ここから、宗教的なコラールを経て、二重フーガに至る部分です。
ここは、当然のことながらオーケストラと合唱で演奏してこそ、その美しさが表現できると思います。

この響きに酔いしれながら、年の暮れとともに気持ちがだんだん高揚してきて、そして今日の本番を迎えます。

どうして年末に第九を演奏するのか

日本では、12月になるとどのオーケストラでも第九を演奏します。
本演奏会も、最近でこそ合同演奏会という名称になり第九以外の作品も取り上げるようになりましたが、元々は毎年第九を演奏していました。

例えば、1年の最後の月だからベートーヴェンの最後の交響曲を演奏しましょうという説もあります。

私が一番好きな説は、「オーケストラの餅代を稼ぐため」というものです。
餅代というのは、新年を迎えるための特別ボーナスのようなものです。
これは、財政事情の苦しいオーケストラが団員のために、演奏会をやろうと企画しました。
ここで、普通の演奏会では、お客さんが入りません。
頭のいい人が、「そうだ、第九だ!」
なぜならば、合唱の人たちが、お客さんを連れてきてくれるからです。当然、オケ単独で演奏するよりお客さんが入ります。
これによって、オーケストラの団員に餅代を渡すことができました。
めでたしめでたし。

そのルーツはもっと悲しい話であったようです。
これは、戦時中に学徒出陣のために卒業式を12月に繰り上げで行いました。
そのとき、第九の特別演奏会を最後に、学生は戦場に赴いたのでした。

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