第17回 定期演奏会

カール・マリア・フォン・ウェーバー:歌劇「魔弾の射手」序曲

17th定期パンフレットウェーバー家は「フォン」が付いていることからもわかる通り、爵位をもった貴族の家柄で、1622年に神聖ローマ帝国皇帝フェルディナント2世から男爵の位を与えられたヨハン・バプティスト・フォン・ウェーバーを祖先としています。
ウェーバーの父フランツ・アントンは50歳を過ぎてから30歳年下のゲノフェーファと再婚して、この大作曲家をもうけています。
4人の娘を声楽家に育て上げた兄フリードリンに対抗意識を抱いていた父フランツ・アントンは、先妻との子供は駄目だったが今度こそはと息子カール・マリアへの音楽教育には力を注いだと言われています。
ちなみに従兄弟に当たる先述の4人の娘のうちの三女がモーツァルトの妻となったコンスタンツェなのです。

このオペラは、1820年に作曲され、1821年6月18日に、ベルリンで作曲者自身の指揮によって初演されました(序曲だけは前年にコペンハーゲンで初演されています)。
この初演の客席にはメンデルスゾーン、ハイネ、そしてこの後の曲目でもあるコッペリアの原作者ホフマンの姿がありました。

「魔弾の射手」は、「悪魔に魂を売る約束と引き換えに、6本は射手の狙ったものに必ず当たり、最後の7本目は悪魔の意のままになる7本の矢を得る」というドイツの古い伝説に基づいて、アーペルとラウンが舞台を30年戦争後、18世紀中期のボヘミアに設定して書いた原作を、作曲者の依頼によって友人のフリードリヒ・キントが脚本化したものです。

レオ・ドリーブ:バレエ音楽「コッペリア」より

この曲は、ドイツのロマン派作家の一人、エルンスト・テオドル・アマデウス・ホフマン(1776~1822)の原作を題材に作曲されたドリーブのバレエ第2作で、1870年5月25日、ルイ・メラントの振付によって、パリのグランド・オペラ座にて初演されました。

舞台はガリシア地方の国境近くの小さな村。
この村の娘、スワニルダの恋人フランツは近頃、人形作りコッペリウスの研究所の2階の窓辺にいつも坐って読書をしている美しい少女コッペリアに気があるらしい。
心配するスワニルダとフランツは遂に口論となり、翌日が結婚式だというのに、仲違いしてしまいます。
その翌日というのは、村の鐘の祝宴日に当たり、この日に結婚すると村長や領主から持参金を貰えるのです。

華やかな前奏曲のあと、人形作りコッペリウスが研究所から出てきます。
そして、2階の窓辺にいる自ら作った機械人形コッペリアに満足そうに手を振ります。よく考えたら、危ないオジサンですよね。
コッペリウスが、研究所の中に消えると、スワニルダが出てきて、コッペリアの気を引こうとワルツを踊ります。

その夜、スワニルダは友人を伴って研究所へ忍び込み、恋敵と勘違いしていたコッペリアが精巧に作られた機械人形であることを発見します。
喜んだ彼女はそこに並べてあった人形を動かして、友人共々踊り出します。
そこへ物音を聴いたコッペリウスが来て、逃げ遅れたスワニルダは衣装を替えてコッペリアになりすまします。
その時、窓から忍び込んできたフランツがコッペリウスに捕まり、酒を呑まされて寝かされてしまいます。
コッペリウスがフランツの魂をコッペリアに移す実験を開始すると、コッペリアになりすましたスワニルダが動きだし、機械人形らしいしぐさで踊り始めます。
コッペリウスは実験が成功したものと思い込んで喜びますが、それも束の間、人形になりすましたスワニルダが段々乱暴になり、そこにあった人形を全部ひっくりかえして逃げてしまってから、初めて事の真相に気が付いて怒り出します。

翌日、仲直りした二人は、他の何組もの男女と共に盛大な結婚式をあげてめでたしめでたし。

という訳で、今回はこの中から6曲を選んで演奏します。

  1. 前奏曲とマズルカ

    第1幕に先だって演奏される前奏曲は、ホルンの幻想的な響きに始まり、弦楽器の上昇音階でマズルカの力強い舞曲に続く

  2. 間奏曲とワルツ

    第1幕冒頭でスワニルダがコッペリアの気を引こうとして踊る有名なワルツ。
    この曲を聞いて、おでんが食べたくなったら、TV(CM)の見過ぎ? かもしれません。
    間奏曲は第2幕冒頭のもので、続いて演奏されるワルツは第1幕のものと主題が同じであり、ここでは第2幕の間奏曲と第1幕のワルツを続けて演奏します

  3. ハンガリーの踊り(チャルダッシュ)

    第1幕の後半に群衆によって踊られる舞曲。
    重々しいモデラートのラッサンの部分に続いて、アレグレットの軽快なフリスカが奏でられる

  4. 情景と人形のワルツ

    第2幕でコッペリウスの研究所へ忍び込んだスワニルダたちが、人形になりすまして踊るワルツ

  5. バラード

    コッペリアに気を奪われたフランツにスワニルダが「あなたはもはや私を愛していない」と言う場面で演奏される。ソロヴァイオリンによりバラードが奏でられる

  6. スラヴ民謡の主題によるヴァリエーション

    スラヴ民謡を主題にした5つの変奏舞曲。
    第1幕でスワニルダが村の娘たちと一緒に踊り出す場面の音楽

ルードヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン:
交響曲第7番 イ短調 作品92

ベルリンのプロシア国立図書館に現在も所蔵されているこの曲の原稿の表紙には「交響曲第7番、1812年○月13日」と書かれています。
破損により何月であるかは判らないものの、当時の書簡などから5月ではないかと推測されています。

1813年12月8日、メルツェルの主催した「ハナウ戦役の傷病兵のための慈善演奏会」で作曲者自身の指揮によって公開初演されました。
(非公開初演は同年4月20日にウィーンのルドルフ大公邸で行われている。)
会場はウィーン大学講堂で、演奏は好評を博しています。

この曲が作曲された1812年はナポレオンがロシア遠征をして大敗を喫した年に当たり、以前に第3交響曲をナポレオンに献呈しようとしたものの、彼の帝国主義に怒り、献呈を取り止めたいきさつを持つベートーヴェンがこの年に第7交響曲を作曲していることは、何か因縁めいたものがあります。

この曲は全体としてリズム感に溢れた躍動的な曲で、演奏する側にとっては一度転んでしまったら、なかなか合わせられない曲の一つなのです。
尚、第4楽章の主題はアイルランドの古い民謡「ノラ・クレイナ」であるといわれています。
スコットランドのある出版業者が、スコットランド、ウェールズ、アイルランドの民謡を踏襲してみてはと勧めたのを受けて踏襲したそうです。

第1楽章
ポコ・ソステヌート~ヴィヴァーチェ イ長調、4/4拍子
第2楽章
アレグレット イ短調、2/4拍子
第3楽章
スケルツォ、プレスト ヘ長調、3/4拍子
第4楽章
アレグロ・コン・ブリオ イ長調、2/4拍子

ヨハネ・ネーポムク・メルツェル

ベートーヴェンの「第7」の解説の中に登場したメルツェルについて、もう少し詳しくお話ししましょう。
彼はドイツの楽器制作者、発明家で、1772年にレーゲンスブルクでオルガン建造家を父として生まれました。
フルート、トランペット、シンバルなどから成る『パンハルモニコン』という自動楽器を考案して、1804年にウィーンで発表。
ベートーヴェンの『ウェリントンの勝利』はこの楽器のために作曲されたものです。

1812年にオランダのディートリヒ・ニコラウス・ヴィンケルが発明したメトロノームを改良して、現在に至るメトロノームを考案し、1816年から製造販売を開始しています。
作曲の際の速度指示にメトロノームを用いたのはベートーヴェンとピアノ教則本で有名なカール・ツェルニーが最初です。

また、彼は、耳が聞こえなくなったベートーヴェンのために補聴器も制作しています。

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