第12回 定期演奏会

フンパーティンク:歌劇「ヘンゼルとグレーテル」序曲

12nd定期パンフレットちょうど100年前の1893年12月に初演され、大成功を収めたこのオペラによって、彼の名は全世界に知れ渡った。

物語はグリム童話の「森の子供達」を題材にしたもので、主人公のヘンゼルとグレーテルが森へ苺つみに出かけるところから始まる。
2人が苺や花をつんでいるうちに日は暮れてしまい、道にも迷ってしまうが、そこへ、森の中の眠りの精が現れ、2人は平和な眠りに誘われる。
夜が明け目を覚ますとそこは不思議なお菓子の家となっていて、喜んでいるが、それも束の間。
中から魔女が出てきて、2人を捕らえ火あぶりにしようとする。
しかし、2人の知恵で魔女を退治し、魔法で閉じこめられていた多くの子供達は助け出され幕となる。

序曲は、オペラの内容や雰囲気をよく表しており、4本のホルンの柔らかな旋律で歌い出され、前半は優美さにあふれる。
突然、トランペットのリズムで曲調は変わり、華やかな舞曲のような、活気ある、上品な迫力で盛り上がり、オペラは閉幕となる。

チャイコフスキー:バレエ組曲「くるみ割り人形」

バレエ音楽が全曲完成する2か月前に、突然新作演奏会の依頼があり、急きょ全15曲のうち8曲を選び出して発表したものが今日演奏されている組曲である。

バレエの内容は、クリスマスの日にもらったくるみ割り人形を取り合って壊してしまったマーシャが、その夜不思議な夢を見る。

人形、お菓子達はねずみ達と戦争をしているが、彼女のおかげでねずみ達が敗れる。
そして美しい王子となったくるみ割り人形と彼女はお菓子の城で素晴らしい踊りの数々を見る。

翌朝、目覚めると、近所のおじいさんが甥を連れてやって来た。
マーシャは夢の話をし、王子にそっくりな甥と手に手を取りあった、というお話である。

バレエも素晴らしいが、子供らしさをちりばめた音楽は全世界に愛されている作品の一つである。

第1楽章
小序曲
クリスマスツリーを飾ってもらってはしゃいでいるいたずらっぽい子供達の世界を描いている。
第2楽章
  1. 行進曲

    子供達入場の情景。無邪気に跳ね回る主題が演奏される。

  2. こんぺい糖の踊り

    冷たく鋭い輝きを持ったチェレスタの旋律に乗ってこんぺい糖が踊る。

  3. ロシアの踊り

    チョコレートの精がエネルギッシュに、ロシア農民の踊り「トレパック」を踊る陽気な場面。

  4. アラビアの踊り

    コーヒーの精の神秘的な踊り。定弦の太鼓と思わせる単調なリズムの上で、東洋的なメロディが遠く夢見るように流れる。

  5. 中国の踊り

    お茶の精のおどけた踊り。フルートと弦のピッツィカートで跳ね回る。

  6. あし笛の踊り

    おもちゃの笛の踊り。フルートの清らかなメロディの合い間に寂し気な行進曲風の旋律が割って入る。

第3楽章
 花のワルツ
こんぺい糖の精と王子に誘われて、舞台上の花も、お菓子もおもちゃもすべてが踊り出す曲。徐々に踊り手が増えていく様子を大きなフィナーレで物語っている。

ブラームス:交響曲第4番 ホ短調

ブラームスが交響曲を作曲する時、脳裏にはいつもベートーヴェンがいた。
彼を意識するあまり、交響曲の発表にはきわめて臆病であった。

しかし、21年もの構想を経て発表した第1交響曲で大成功を収めて以来自信を持ち、この第4番まで相次いで発表し、ベートーヴェンに次ぐ交響曲作曲家としての地位を不動のものにした。

この曲を作曲した時、彼は既に50歳となり、青年時代からの仲間が次第に減り、音楽にも人間の孤独な淋しさが自然と現れている。
また、過去の追憶から、昔の音楽を好むようになり、それに郷愁に近い想いを抱いた。
それが、この交響曲で、古い協会旋法やバロック時代のパッサカリアを用いることで表れている。

いずれにしても、ブラームスの曲は人間の奥深い感情と共鳴し、それが人々に人気のある理由の一つであることは間違いない。

第1楽章
「新世界から」や「悲愴」の冒頭と同じホ短調独特の悲痛な叫びが支配する、暗く、哀愁あふれる楽章。
晩年のブラームスの寂しさと孤独さが迫ってくる。
第2楽章
ホルンで始まり、色々な楽器に受け継がれるメロディは古い協会旋法を用いており、古めかしくかつ懐かしさを感じる緩やかな楽章。
第3楽章
2拍子のスケルツォ。何もかも忘れて景気よく騒ぎたいが、絶えず現実に追われているような緊迫感を秘める。
トライアングルが効果的に曲を引き締めている。
第4楽章
短い主題を低音部で30回も繰り返し、その上で見事な変奏を築き上げる。
音楽史上最高のパッサカリア。
次第にクライマックスを作り、激しい緊張のうちに曲を結ぶ。
pagetop
inserted by FC2 system