第11回 定期演奏会

モーツァルト:歌劇「魔笛」より “序曲”

11st定期パンフレットモーツァルトは、最後の年1791年に二つのオペラを書いた。
一つは祝典的な『皇帝ティトーの仁慈』であり、もう一つがおとぎ話的な『魔笛』である。
ベートーヴェンはこれを「モーツァルト最上のオペラ」と絶賛し、ワーグナーは「真のドイツオペラは『魔笛』から始まる」と述べたと伝えられている。

物語の舞台はエジプト。
旅の途中、大蛇に襲われ、夜の女王に危機を救われた王子タミーノは、悪者ザラストロに捕らわれている夜の女王の娘パミーナの救出を依頼される。
タミーノは女王から与えられた魔笛を携え、鳥刺し男パパゲーノを従えてザラストロの宮殿に乗り込むが、実は彼は悪者ではなく、邪悪な母親からパミーナを守るためにかくまっていたことがわかる。
ザラストロの指導のもと、タミーノとパミーナは様々な試練を乗り越えて、ついに結ばれる。

―今宵は「序曲」だけしかお聴かせできなくて残念ですが、華麗なモーツァルトの世界をご堪能ください。

その昔、この「序曲」を聴いた作曲家シェンクは、感激のあまり、思わずモーツァルトに接吻したといいます。
会場の皆様、たとえどんなに感動なさっても決して指揮者に接吻などなさらぬよう…彼女は人妻です!

グリエール:ハープとオーケストラのための協奏曲

協奏曲の独奏楽器としてはほとんど用いられていないハープを使った協奏曲には、有名なヘンデルの作品がありますが、本日はグリエールの作品を採り上げました。

レインホルト・グリエール(1875-1956)は、ベルギー系ロシアの作曲家で、帝政時代からソヴィエト時代にかけて、作曲家、教師として多くの功績を残しました。
年代でいうとラヴェルと同い年になります。
主な作品としては、バレエ音楽「赤いけし」が知られています。

ところで、ハープという楽器は47本の弦があり、これを指ではじいて演奏しますが、更に7本のペダルがあり、これによってドレミファソラシそれぞれの音を半音高く、あるいは低くすることができます。
ソリストの操作にもご注目ください。

第1楽章 Allegro moderato
1小節間の短い序奏の後、アルペジョを伴いながら、いかにもハープらしい美しくエレガントな旋律で始まる。
それとは対照的に、5拍子の第2主題は管楽器、ハープによって静かにゆったりと歌われる。
第2楽章 Andante
緩徐楽章。ハープのカデンツのあと、そのテーマを受けた6つの変奏曲で構成されている。とても静かな楽章。
第3楽章 Allegro giocoso
ロシアの民族舞踏を採り入れたリズミックな楽章。
コーダでは徐々にテンポを速め、クライマックスに達し、全曲を終わる。

チャイコフスキー:交響曲第6番 ロ短調「悲愴」

1893年、ペテルブルクにおいてこの曲は初演されました。
当時のロシア帝国は革命の前兆の時代を迎えており、社会主義体制の重苦しい雰囲気の中で作曲されたこの曲には、人生に対する深い思想と、人生の真実を求めゆく芸術家の心が込められています。
しかし初演時はまだ無題で、弟モデストの提案により「悲愴」という題をつけました。

作曲者自身はこの交響曲にたいへん満足していましたが、初演から4日後、コレラに感染し突然亡くなりました。
彼の追悼演奏会で聴衆の一人が「彼はこの曲を激しく泣きながら作曲したのだろう。終楽章は絶望感を抱かせる。なんて恐ろしい曲だ。」と言ったそうです。
ちなみに来年1993年は没後100周年にあたります。

第1楽章 Adagio-allegro non troppo ロ短調 4/4
コントラバスの和音にのせファゴットの悲痛極まりない旋律で始まる。
第2主題で悲哀漂う旋律が現れ、やがて安らかで甘美な世界が終わると、突然激しい嵐となる。
嵐が去り、再び第2主題が現れると、金管楽器のコラール(協会の賛美歌)によって静かに終わる。
第2楽章 Allegro con grazia ニ長調 5/4
4分の5拍子という耳慣れない拍子にのって、チェロが軽やかに、そして優美に歌う。
しかし中間部では重苦しく、深い哀愁に満ちている。
第3楽章 Allegro molto vivace ト長調 4/4 12/8
全体的に非常に軽快で、なおかつ勇ましさを秘めるこの楽章は行進曲(4/4拍子)とイタリアの民族舞踊のリズムであるタランテラ(12/8拍子)とが並行して展開する。
最後まで盛り上がり華やかではあるが、実は重々しい影を引いている。
第4楽章 Adagio lamentoso
数々の交響曲のなかで、これほどまでに悲痛な終楽章はほとんどない。
荘厳なテンポで、鎮魂の雰囲気に満ちている。
まさに「悲愴」感が爆発すると、全曲でたった1回のドラによって悲劇に終止符が打たれる。
後奏では数々の悲しい出来事を波のように思い返しながら、静寂へと戻っていく。
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